Buzz Bubbles

2009 Social Advertisement

情報技術の発達によって、人を取り巻く環境、人の行動、そしてマーケットのあり方は変化している。Googleに代表されるような情報獲得技術は、人と物との効率的な出会いを提供したかのように見える。飾り立てられた広告などの情報に頼らず、能動的な検索という手法により、自分の欲しい情報や物だけを直接手に入れることができるからだ。



しかし、この一見効率のよい情報獲得技術は、人々から「意外な物との出会い」を奪ってしまった。人は自分の興味ある情報の渦から抜けられず、従来の広告が提供していた「もともと興味はなかったが、偶然見かけて気になって、つい買ってしまった」というような発見・出会いが起きなくなってしまった。



そこで、今回のプロジェクトでは、2009年のフェスティバルカタログをターゲットとし、今まで関心のなかったアーティストや作品への興味を起こさせ、カタログを手に取りたいと思わせる新しい広告のプロトタイプを制作する。



アルスエレクトロニカのフェスティバルカタログは、期間中に展示するアーティスト、作品、プロジェクト、会議、パフォーマンスなど全ての情報をページ単位で編集したものである。このフィジカルなカタログと、インターネットという仮想空間Cloudでの人々の営みを結びつけると、何が起こるだろうか。



我々は、アルスエレクトロニカWEBサイトにおける人々の行動や関心を元に「Buzz」を抽出・生成するシステムを設計し、そのBuzzをフェスティバルカタログの各ページの情報と結びつけ、フィジカルな出力に変換。インスタレーションでは、Webサイトへのアクセスがあるたびに、そのBuzzがブックショップに出力されていく。



 「p.52は夜中にこっそり見られている」

 「p.184が好きな人は失恋しやすい」

 「犬好きの人はp.356を見ない方がいい」


さらにこのアイデアをベースに、フェスティバルカタログを販売促進するリアルタイム生成しおりやペーパーバッグもデザインする。



このインスタレーションを通じて、実際のカタログと個々のページへのクチコミがシンクロし、リアルタイムのアルスエレクトロニカの社会像を表現する。来場者は、人々によって生成されたクチコミという「広告」を持ち帰ることができる。この新しいお店の環境では、カタログはただのプロダクトではなく、新しい広告の媒体となる。情報獲得技術によって無機的に効率化され閉じてしまいがちな現在の広告システムに対して、かつて広告が持っていた有機的で物理的な出会いを作り出すのである。



Googleは、全ての書籍をデジタル化し検索可能にするという。その過程で「本」は解体されて、ページ情報というサインは意味をなくす。一方で、個々の情報との「出会い方」は、必ずしもオンライン検索だけでなく、フィジカルな現実空間を巻き込んでゆくだろう。このCloud的な視点とGround的な視点の両方を見たときに、いかに軽やかに「新しい出会い」を提供できるのか。その方法として有効なのはやはり「広告」であろう。邪魔者になってしまった従来の広告とは違う、人とプロダクトを繋ぐチャーミングな新しいコミュニケーションの形があるはずだ。そして、この新しい広告の形を探求することで、Human Natureの一つの方向性が見えてくると考える。



このプロジェクトは、2008年からはじまった、アーティストグループ「h.o」と日本の大手広告代理店「電通」のコラボレーションプロジェクトである。昨年の「A New Cultural Advertising Project (Tシャツプロジェクト)」に引き続き、アルスエレクトロニカフェスティバルを舞台にした「新しい広告」の実験である。




Buzz Bubbles (2009) from h.o on Vimeo.

Buzz Bubbles (2009) from h dot o on flickr.

Info


Selected Exhibition


Credit

Chief: Taizo Zushi

Concept: Hideaki Ogawa, Taizo Zushi, Yuichi Tamagawa and Emiko Ogawa

BuzzBubbles System: Taizo Zushi

Printing System: Mizuya Sato

Interactive Installation: Yuichi Tamagawa

Installation Support: Yui Yonekawa

Art Direction: Hideaki Ogawa




Collaboration with Dentsu

DENTSU inc.: Naoto Oiwa, Makoto Teramoto, Yasuharu Sasaki and Tsubasa Kayasuga



Cooperation with: Ars Electronica Festival Team